建築士コラム

建築とデザイン

水口 真希

二礼(右手下がって)二拍手一礼

2021年も約ひと月が過ぎようとしています。皆さんは、初詣に行かれましたか?私はというと、彼是20数年、初詣をした記憶がありません。

なぜかと言うと、代々「巫女神楽」を受け継がれている知人のお手伝いをしており、毎年大晦日から神社に泊まり、元日は神楽殿で参拝者をお迎えする側に居るからです。

私が、毎年お手伝いしている石清水八幡宮は、京都の裏鬼門を守る神社と言われています。京都御所から裏鬼門(南西)の位置にあるからです。昨今は、「吉方」や「縁起」を、家を建てる時に初めて意識される方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、せっかく建築関係のお仕事をされているなら、地鎮祭などに行かれた時に少し意識してみられると面白いかもしれません。
まず、参道。
石清水八幡宮を例にあげると、本殿と参道が少し「くの字」になっています。これは、御神前にて参拝して帰る際に、八幡大神様に対して真正面に背を向けないよう中心を外しているといわれています。生國魂神社(大阪市)も、参道と本殿が「くの字」になっています。

次に、拝礼。
「二拝二拍手一礼」はご存じのことと思います。
ここで、玄人っぽくみえるワンポイント。両手を合わせた後、右手を少し下にずらせてから二拍手します。左手を神様にたとえ、右手を自分と考え、自分が一歩下がる、と巫女を始めた時に教えられました。

理由は定かではありませんが、確かに神社関係者で、両手を合わせて右手を下げずに二拍手する方を見たことはありません。
そして、神楽殿。
柱で囲われた壁のない空間で、寒いことこの上なしと思われるかもしれません。しかし、火鉢で炭をおこし暖をとっているので、それ程ではありません。

また、座っている座布団の下にはホットカーペットが敷かれているので、意外と温かい。簡易床暖房、様様です。ホットカーペットが登場するまでは、座る間もないほど、参拝者が多かったので寒さを感じる暇もなかったようです。

ここで、控え所での話。初めて巫女神楽のお手伝いに上がった時、新年のあいさつに来た両親に正座して三つ指ついて新年の挨拶をするように指導されました。なんとも気恥ずかしい思いでした。その時、座布団に正面があることを知りました。分かりますか?縫い目のないところが正面です。

今時、座布団を使う事も少ないでしょうが、何かの折に座布団を使うことがあれば見てみて下さい。
最後に、生活様式は変わってきていますが、自分の身近にあるものに目を向けてみると、まだまだ気づくことが沢山ありそうです。
日々発見があるって楽しいですね。

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