建築士コラム

プロジェクトの足跡

上野 隆一

デザイン&ストラクチャー Vol.4
「HOTEL HAUS」

はじめに
大阪市都島区京橋、繁華街の一角で3方向道路に面した敷地に本建物は位置しています。賑やかな街の風景の中にそっと溶け込むような落ち着きのあるデザインを計画しました。

デザインとストラクチャー
<合理的な構造計画>
X方向の妻壁には間柱を設け耐震壁とし、地震力を負担させることで、内部の梁成を小さく抑えると共に天空率で建物高さが決まることから、階高さを低く抑える計画に寄与しました。

<外観計画>
アウトポールデザインより、柱の断面寸法は2階以上同一とし、デザインの統一性を図りました。

<デザイン庇のディティール>
柱から少し出たデザイン庇は梁幅を抑えることで、柱と梁との間にわずかなスペースが生まれ、そこに縦樋を設けるよう工夫しました。そのことで、縦樋が建物のエレベーションに影響を与えないよう配慮する計画としました。
基礎計画
本敷地の地盤は非常に緩い軟弱地層が20m程続き、支持層となる堅い地層に到達します。そのため、本計画では杭基礎を採用し、建物を安全に支持する計画としました。

杭基礎を計画する上で重要なのが、敷地までの搬入経路と敷地内での施工方法です。敷地周辺道路は繁華街ということもあり、道幅が狭く、また入り組んでいることから運搬方法や杭サイズ、また施工方法を、設計段階から入念に現地確認・検討を行い、無事工事完了に至りました。
おわりに
本建物は詳細な設計検討と厳しい施工条件の中、多くの人の尽力があって完成しました。繁華街の中心にある本建物は訪れる方々に、落ち着きとやすらぎを与えられるホテルとなることを期待しています。

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