建築士コラム

建築とデザイン

水口 真希

『窓』のデザイン

◎はじめに
もう何十件と建築物の設計・監理を担当させて貰っていますが、未だに難しいと感じるのは「窓」のデザインです。窓は、外観デザインにも内観デザインにも大きな影響を与え、それだけではなく様々な法規制をも担っている為です。

では、窓の大きさ等はどの様に決めているのでしょうか。人によって違うとは思いますが、私の場合は、建物の用途や構造、規模、間取り等による最低限必要な窓の大きさをチェックします。次に、窓の縦横比や開口機構(引き違い、片開き等)を、可動域や使い勝手を考えながら大よそ当たりを付けます。それに並行して、全体のデザインイメージも考えます。

また、構造設計ともよく調整しておかなければ、「耐力壁だから窓を設けられない」と言ったことも起こりかねません。そして最近は、限られた種類しか防火認定がとれていない状況があり、今まで以上に窓のデザインが難しい状況にあります。

窓周りのデザインで、お客様から度々尋ねられる排煙窓にについてご紹介します。「排煙窓を無くせませんか?」と聞かれることがよくあります。
答えは、条件がそろえばできます。
◎排煙窓
排煙窓をなくす為の条件は次の①~④があります。

①避難経路以外にある窓である場合。
避難経路にある排煙窓は、万が一、火災が起こった時に煙が充満して生死を左右しかねない為、自然排煙(窓による排煙)が求められます。逆に言えば、避難経路以外にある窓であれば、排煙窓をなくせます。

②排煙免除や排煙告示が適用できる室・居室である場合。
これを適用させる為には、建物の31m以下の場所に設けられている100平米以下の室・居室で、かつ、内装の下地仕上を不燃材料を使ったり、防煙たれ壁・常時閉鎖の防火扉による区画が形成出来ている場合などの条件がクリアできた場合に可能になります。

③排煙設備機器を置くスペースと予算が確保できる場合。
お施主様の強い要望や一定規模以上建物でないと、なかなか採用には至らないケースです。

④病院や共同住宅・ホテルと言った建築基準法別表第一(2)特殊建築物で準耐火構造以上の床・壁または防火設備で区画された100平米以内の部分。

①〜④の取扱は、平面形状・断面形状により適用できない場合もあり得るので各特定行政庁等で確認が必要です。他にも「排煙免除」できる部分は、防火避難規定や行政会議、各特定行政庁で規定しています。
◎おわりに
いづれにしても、窓のデザインは見た目だけではなく、様々な法規制がかかっています。規制のある中で色々な提案が出来るように、多くの事例を学び、活かしていけるように蓄積を増やしていかなければなりません。

OTHER COLUMN

建築とデザイン

建築士海老澤 一晃

建築×プログラミング

プロジェクトの足跡

建築士水口 真希

建築士が担う役割について

建築とデザイン

建築士松永 康宏

オフィス環境を考える

建築士コラム一覧に戻る

RAFT 株式会社ラフト