建築士コラム

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時代と共に変化する「住」に寄り添って

ラフトが取り組む「住」の仕事とは?
水口:戸建て、マンション、老人ホーム、学生寮。すべて合わせれば、人が住む建物の設計は仕事全体の7割くらいを占めますね。

角南:そのくらいの割合だと思います。水口さんの最近の仕事では、民泊も増えているんじゃないでしょうか?

水口:確かに「民泊対応の共同住宅を設計してほしい」というご依頼は増えました。本来は戸建の空き家対策だったはずの民泊ですが、ホテルよりも共同住宅のほうが規制が厳しくないことにディベロッパーさん達が気づいて、結果的に共同住宅の民泊がすごく増えたんですね。
そうはいっても新しい制度ですから、実際に設計を担当すると、次から次へと細かい規制に直面して苦労しています。
行政の監査で「〇〇が足りない」と後から指摘されたり、行政側の担当者が変わると今までOKだったものがNGになったり…。

角南:それは大変そう(笑)。

水口:こういう新しい制度ができたときの試行錯誤が次の仕事に活きてくると経験から分かっているんですけどね。

角南:戸建てでも、特に木造住宅は規制が多いので、構造や設備設計のスタッフにこまめに相談しながら進めていくよう心がけています。社内に各分野の専門家がいて、いつでも相談できるという環境が本当にありがたい。社の内外問わず、プロジェクトに関わるすべての人たちとの関係を、いかに密につなげていくかが建築の仕事の鍵ですね。
【住宅設計室チーフ:角南 公淑】代表松永の後継として、住宅設計を一手に請け負う。クールな見た目と裏腹に、意外と後輩の面倒見が良いと評判。
住宅設計は、
お施主様とのコラボレーション
水口:戸建ての場合は、打ち合わせに時間がかかるのが大変じゃないですか?

角南:確かに。理想の家をつくるためには、お施主様のご家庭の事情や価値観まで共有させていただく必要があります。でも、その大変さこそ戸建の「面白さ」です。お施主様の視点から、自分とは違う世界を覗くような感覚で、楽しさもあります。住宅設計は「お施主様とのコラボレーション」だと思ってるんです。自分の発想の枠を越えた、素晴らしい家ができるという意味で。

水口:「住」に限った話ではないですが、代表には今後、建物だけではなくインテリアも含めたトータルコーディネートをやっていきたいという構想もあるみたいですね。

角南:雑貨やアートも空間の重要な要素だと普段から話していますよね。

水口:民泊の案件では、実際に家具やインテリアも併せてご提案してきたので、ノウハウはあります。私はもともとインテリアが好きでこの業界に入っているので、そういう仕事ができるのが楽しみです!
資材高騰で問われる、
住まい空間の優先順位
水口:資材価格高騰の問題で、マンションなどでは、どうしてもグレードを落とさなくてはならない場面は出てきています。価格を抑え、さらにメンテナンスしやすい素材を使うなど、工夫はしていますね。

角南:ただ、マンションだと、エントランスなど多くの人の目に触れる部分のグレードは落とせないですよね?

水口:そうなんです。一方で、共有部分が「豪華すぎる」というのも良くありません。住む人にしてみれば、共用施設よりも自分たちの居住空間にお金をかけてほしいわけですから。

角南:なるほど。肝心の室内が質素だと、なんだか残念ですね。

水口:マンションも、あくまでも「住」を目的とした建物です。そのことを良く理解して、資材が高騰しているからといって安い資材を探すだけではなく、まず住居部分をしっかりとつくるといった優先順位をつけることが大切になってきていると思います。
【施設設計室チーフ/一級建築士:水口 真希】ラフト創業メンバーの一人。ラフトの法の番人であり、各関係者への指示も常に的確。まさに“リーダーの鑑”的存在。
多様化する「住」のカタチ
角南:その一方で、今はすごくハイグレードな老人ホームを建てることもありますね。

水口:そうですね。経済的に豊かな生活を送ってこられた方は、老後もそれまでの自分たちのライフスタイルを維持することを望まれますから。ゆとりのある暮らしを楽しみつつ、なおかつ家族に介護の負担をかけないために、そういったホームを選択されるようです。

角南:「住」へのニーズが多様化しているのは、家族のあり方も時代と共に変化しているからかもしれません。今では、『家族』が人間以外を指す場合も多いですね。
これからますますニーズが多様化していく中で、僕は建物のディテールだけでなく、人間関係のディテールにもきめ細やかに対応できる建築家でありたいと思います。それが、今の時代における「感動を与える」という価値につながるんじゃないでしょうか。

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