建築士コラム

代表の想い

松永 康宏

建物の原点である
「住まい」の設計

ラフトを創業した私の建物の原点、それは“住まい”の設計でした。「人が住む=人にフォーカスする」ことに向き合ってきた中で多くのことを学び、実践してきた経験から、福祉施設や保育園、宿泊施設へと事業領域を拡げ、今のラフトへと成長してきました。私自身の原点を振り返るとともに、強くなってきた組織の未来像にも触れたいと思います。
設計士としての原点はまさに
衣食住を支える住まい
「衣・食・住」は、人間が生活を営む上で必要な基本要素です。

私たちの力が必要とされるのは、その基本要素のひとつ、“住まい”の設計です。

学校を卒業し、京都の設計事務所に勤め、初めて関わった建物、それは、数ある住まいの種類の中の『建売住宅』でした。建売住宅の設計で必要とされたのは、広く多くの方に支持される建物を設計すること。コストを抑えて快適な住まいにすること。スピーディに業務をこなすことの3つでした。建売住宅をつくる場合、そこに住むお客様と対話することはありません。そのため、自身の中で『ある家族』を想像しながら設計を行いました。そして、廊下を少なくしてLDKや寝室が広くとれるプランを考え、年間50棟もの設計を行いました。普遍性と快適性、コスト感覚、そしてスピード感を持って設計をすることを叩き込んだ経験でした。

次に勤めさせて頂いた西宮市にある設計事務所では、全く逆の、こだわりある注文住宅の設計に従事。建築主であるお客様から要望をもらい、一つひとつを丁寧に設計していきます。コンセント一つ、スイッチ一つも、どこにつけた方が良いかお客様と相談しながら設計しました。打ち合わせは1回2時間程度を要し、設計期間は1年ほどかかります。そのため、ご依頼があってから2年くらいかけて竣工するといったスケジュールでした。 注文住宅において、デザイン面は最も重要なところで、お客様への提案は模型やCGなどを使い様々な角度からデザインを検証できるようにします。しかし、この事務所ではデザインのスタートは手描きのパースでした。通常は所長が起こしたパースからデザインを詰めていくのですが、私の場合はどうしても自分がデザインしたかったので、私がパースを描いて所長にチェックしてもらい、それを自ら図面に落とし込みました。そのおかげでパースを描きながらデザインを考えることが身につきました。
人の住まいには色々な側面があります。快適性は人によって異なるのですが、何が一番心地良いか見定める必要があります。異なる住まい手にひとつの回答で答えるのではなく、様々な引き出しを作り、ご要望に応えることが必要だと学びました。こうして「住まい」に向き合ってきた経験が、多様な建築に関わるようになってからも活きていると実感しています。
どんな建物でも、
その空間にいる人の
居心地の良さをつくる
ラフトのスタッフたちにも私と同様に様々な経験や、原点と言える大切な建物が心の中にそれぞれあります。そして「自分たちが設計する建物がどのような用途のものであっても、その空間には必ず人が居て、その人たちが心地良く過ごせる場所にならなくてはならない」という想いを根底に持っているからこそ、目指す「良い建物」へと一緒に向かうことができています。 

賃貸マンション、分譲マンションには独自のルールや建築基準法があります。老人ホームでは介護職員の方が働きやすい環境づくりや、終の棲家としてふさわしいデザイン性のある施設づくりが課題です。宿泊施設では事業収支はもちろんのこと、宿泊者の記憶に残る体験を提供できるかも重要な点であったり…。用途ごとに求められるものはそれぞれ異なりますが、その空間にいる人の居心地の良さを創ることが、私たち設計士に課せられた使命です。設計しながらその場所を歩いてみる。歩く視線の先にある壁をデザインし、座るとそこから見える景色を窓で切り取る。そうやって、人にフォーカスした建物を創るのが優れた設計士、ラフトがこれからも目指し続ける設計集団の在り方だと考えています。

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